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第参輪 ザルカバード
2005-11-20 Sun 08:07
時同じく、地はVana'Dielの最北端、ザルカバード。
黒く落ちた空の下、その大地は全て白一色に染まっていた。
視界はゼロ。激しく振りつける吹雪が行く手を阻む、そうまさにそこは極寒の地だった。
そんな地で、三人の男達が小さな丘の頂で"何か"を調査していた。
「やはりそうだ。」
紫の鎧に身を包んだヒューム族の男が"何か"を見つめて言った。
その瞳は凛々しく、遥か東方を思わせる髷のような髪型をしている。
背には大きな槍を。そしてすぐ側には小さな飛竜が飛んでいた。
彼の名前はリム。
「…。」
その言葉にリムの横からガルカ族の男が顔を覗かせた。
一言で言ってしまえば大男で、黒っぽい胴衣を身にまとい、腰に爪具を(ナックル)を下げている。
リムと同様その"何か"を見つめているが、表情は険しく、まるで獣のよう…。
しかし、その瞳の奥には優しさを帯び、まるで全てを悟っているようだった。
名を、イルキと言う。
「国は気づいているのでしょうか?」
そしてもう一人。
純白の鎧に身を包み、腰に青い剣、左腕に金色の盾を持ったエルヴァーン族の男。
尖った耳と、この白銀の世界でも美しくなびく銀の髪。
その顔立ちはまさに威風堂々。ただならぬ「聖」のオーラを発していた。
彼の名は、ティネス。
「私は、これに似た現象を街の中でも見ました。しかし、あれだけの人数がいたにも限らず、誰一人として気づいていなかった…。」
「…つまり?」
「…おそらく、国が動く程の情報は愚か、国の人間さえもこの事態に気づいていないかと。」
リムがそう言うと、イルキとティネスは少し難しい顔をして見せた。
―何故、我々には見えるのか?―
二人ともそう考えていた。
今、自分達の目の前に広がっているその現象。
足元は間違いなく降り積もった雪なのに、寸尺前には黒い靄のようなものが渦を巻き、その雪ごと大地を飲み込もうとしているようだった。
「しかし、何故リムさんはその現象がここにもあると…?」
ティネスがリムに訪ねた。
「先の大戦…。」
リムは空を仰ぐ。
―今より20年程前に起こった獣人との大大戦。
各国で展開されていた争いの決着は、このザルカバードでつけられたとされていた。
「なるほど…。もし、その大戦が関係しているとなると、これは我々だけの力ではどうにもなりませんね。」
ティネスの言葉にリムは頷いた。
しばらく沈黙が続き、三人はただ、その現象を見つめた。
不定期な波を放ち、ゆらゆらと黒い渦は回る。
長い間見ていると、こっちまで吸い込まれそうだ。
思わず目を閉じたリムは、一息置いて二人に言った。
「一度戻りましょう。相手にされないかもしれませんが国に報告を。」
「えぇ。」
二人は頷いた。
「!」
その時、イルキが何かに異常な反応を示した。
「…どうしました?」
リムが問いたが、イルキは背後を振り返ると、遠くを睨みつけたまま黙り込んでしまった。
その空気を感じとるように、大気の流れが変わり、吹雪がおさまっていく。
やがて、視界が明け始めるとイルキが小さく言った。
「囲まれている。」
「!?」
二人も異変に気づき、とっさに武器に手を添えた。
晴れていく全景。そこには、多数のアンデッド族や一つ目のアーリマン族が、少しずつ三者に歩み寄る姿があった。
黒い渦の端から端まで少しの隙間もなく集結している。おぞましい殺気だ。
三人はジリジリと後ずさる。もう後がない。
この極寒の地でも、手のひらに嫌な汗が浮かぶのがわかった。
リムが唾を飲み、二人をチラリと見る。
「いけますか?」
「えぇ、もちろん。」
イルキとティネスは少しだけ笑みを浮かべた。リムもそれに応える。
「…では!」
三者は武器を構え、一斉に切りかかった。




夜になり、バストゥークの空には赤い月が登っていた。
それを窓辺から見上げながら、ユミは一人今日の事を思い返していた。
モグに起きた異変。街に突如現れた闇の使い。
夢と同じ事を言ったあの女の人…。そして、その全てに誰も気づいていないこと

結局その事を母にも言い出せぬまま、ユミは一人思い悩んでいた。
(本当に、この世界おわっちゃうのかな…。)
ユミはベッドで眠るモグを見つめ、心の中でそう呟いた。
モグが突然告げた世界の終わり。
まだ半信半疑ながらも、このVana'Dielに何か不吉な事が起きていると、ユミは感じ始めていた。
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第弐輪 夢の結合
2005-11-06 Sun 19:51
「闇の契約が結ばれた。」

(え?)
ユミはハッとして目を覚ました。
どうやら昼食をとった後、モグの看病をしているうちに眠ってしまったらしい。
「…夢?」
ユミは体を起こし、あたりを見渡した。
隣でモグが静かな寝息を立て眠っている。
「モグちゃん…。」
ユミはモグの頭を撫でてみせた。
(今の夢…何か関係あるの?)
心の中でそう思うも、今のモグには何も聞けない。
ユミは少し歯痒い思いをしていた。
―もしも、本当に世界が終わってしまったら…。
「ユミ~。」
ナツミの声がした。
ユミの思いは断ち切られ、ふと我に返る。
「は―い。」
ユミは急々と部屋を出た。
ナツミがキッチンで昼食の後片付けをしていた。
「何?」
「モグちゃんのお薬切れちゃうから、買ってきてくれない?」
「あ、は~い。」
ユミは返事をすると家を後にした。



バストゥークの商業区は、休みのせいもあって大勢の人々で賑わっていた。
大きな噴水のあるバザー広場から、グスタベルグへと繋がる通路、鉱山区へと繋がる大通り。
どちらも多くの買い物客であふれかえっている。
大半の人数を占めているのは、この国の創元でもあるヒューム族とガルカ族ではあるが、その他の種族も皆楽しそうに買い物を満喫していた。
この様子だけを見れば、三国には何ら隔たりなどないようにさえ思えた。
ユミは噴水周りのバザー品を覗く客を掻き分けながら、目的の薬屋へと急いでいた。
一難去ってはまた一難。ユミは何度も人にぶつかっては「ごめんなさい」を繰り返した。
やっとの思いで噴水のバザー広場から抜け、小さな階段を降りきったが、ユミはまたしても人にぶつかってしまう。
「きゃっ。」
ユミはバランスを崩し転んだ。
「いたたた…。」
少し痛みが走ったが、幸いにもかすり傷さえも負わず、ユミは膝を払い再び歩きだそうと体を起こした。
しかし、ユミはこの後"あるまじきモノ"を目にする。
視線は目的の薬屋をとらえるまで二転三転左右にふられ、その視界の中にそれは確かに存在していた。
一瞬店の売り物かとも思ったが、明らかにそんな空気ではない。
まがまがしい体つきと黒い羽根に尖った尾。
絵本の世界や宗教の"それ"に現れるような悪魔の子供。
まさにそのものだった。
(!?)
ユミは思わず目をこすった。
「あれは闇の使い。」
その時だった。突然背後から背筋の凍るような冷たい女の声がした。
ユミは驚いて振り返る。
今自分が降りてきた階段の最上に、頭まで被った全身ローブの女が、こちらを見下ろしていた。
ユミにはそれが何なのかさえ理解できなかったが、女は全身を黒い炎のようなもので包まれていた。
ユミは恐れおののきガタガタと震えた。
初めて直面する本当の恐怖だった。
女はユミの背後を指さし、フードから僅かに覗く口元に薄笑いを浮かべ続けた。
「奴らは、この世界の査定をしている。」
言葉の意味はまったくわからなかったが、一つだけユミにもわかる事があった。
これほどまでに恐ろしい事態が起こっているのに、街の人々は誰一人として気にかけていない。
いやむしろ… 見えてさえいないようだった。
ユミは全身に嫌な汗が流れるのを感じた。
そして、この直後女が口にした言葉がユミの中で確実なリンクを完成させた。

「そう…闇の契約が結ばれた。」

ユミは自分の耳を疑った。
それは、確かに夢の中で聞いた言葉だった。
「あ、あの…。」
混乱しながらも、ユミは何かを言おうとしたが言葉にならない。
今は言葉より恐怖という思念が体全体を支配していた。
「…間もなく、この世界は闇へと還されるであろう。」
女がそう告げると、女を包んでいる炎が勢いを増し、ユミの目前まで迫った。
ユミは思わず目を伏せた。
…数刻後、恐れながらも目を開けた時には、もう既に女の姿はなかった。
街に紛れていた闇の使いもいつの間にか消え、ユミの耳には再び街の人々の賑わう声が戻っていた。
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