スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | top↑
第肆輪 朝、誰もいない部屋
2005-12-11 Sun 10:08
カーテンの隙間から差し込む朝日が、部屋の一角を照らす。やわらかな風がその光をゆらゆらと動かしていた。
昨日の事を考えながらも、いつの間にか眠ってしまっていたユミは、鳥達のさえずりと共に目を覚ました。
「んん…。」
ゆっくりと体を起こし、まだうまく機能しない目をこすった。
はっきり開けていく視界の中、ユミは隣にモグがいない事に気がつく。
(あれ?)
あたりを見渡せどその姿はない。
ユミは自分の部屋を出て、キッチンへと歩いた。
綺麗に片づけられた机の上、ユミは一枚の置き紙を見つける。
(?)

―ユミへ
今日は少し早く出ます。もしかしたら出張になっちゃうかもしれないので夜は好きな物を食べて下さい。ごめんね。

そこまで読んで、ユミは無意識に眉をひそめた。
机の上に、ヴァナの硬貨が数枚置いてあるのに気づく。
これで買いなさいということだろう。
ユミは置き紙に目を戻した。続きがある。

―後、モグちゃんの事だけど、いつもの里帰りみたいだから、あんまり気にしないで。

「あ、そっか。」
ユミはふと思い出した。
モーグリ族は、いつも病気になったり精神的に不安定になると、その翌日忽然と故郷へ帰ってしまう。
おそらく、それがモーグリ族にとって最善の治療法であるには間違いないが、その真相や故郷の場所など、一度たりとも口にしたことがなかった。
数日経って家に戻って来る時には、やはりあの愛らしい声で「ご主人様、突然の留守ごめんなさいクポ。」などと言われてしまうと、何も言えなくなってしまうのである。
そして当のモグも、ナツミに仕えはじめてから何度か故郷に帰っていた。
ナツミはおそらく、今回もそういう事情だろうと思ったのであろう。
(本当にいつもの里帰りなのかな…?)
ユミだけは、その里帰りに何かひっかかるものを感じていた。
「はぁ…今日は独りか。」
自然とため息がこぼれる。
普段は決して広いとは言えない我が家も、今日はやけに広く感じた。
それは、独りきりという現実もさる事ながら、ユミは昨日の事が気になって仕方がなかった。
明日になったらお母さんに話そう。そう決めた矢先のことだったから…。

―コチ、コチ。
静止した時の中、ユミの耳には時計の秒針の音が聞こえた。
(時計?)
ユミはおもむろに時計に視線を向けた。
「あ"ぁぁ!!」
そして突然発狂すると、ユミはパニック状態に陥った。
その時計が告げたもの―。
「遅刻しちゃうぅぅぅ!」
そう、ユミはバストゥーク国校に通う一学生なのである。



―カランカラーン。カランカラーン。
建物中に広がる大きな鐘の音は、その一日の始まりを示していた。
「お、おはようございます!」
荒い呼吸で教室に滑り込む生徒が一人。バストゥークの国紋が胸に刺繍された藍色の制服と、同色の膝上丈のプリーツスカートを着こなし、左の手に鞄を持っている。
肩を上下に揺らし、ぜぇぜぇと息をつく。普段の位置から少し横にずらし髪を結んだユミだ。
しかし、既に時は遅く朝礼は始まっていた。
「おはようございますユミさん。遅刻ですよ?」
スタン先生はエルヴァーン族の男。
少し下げてかけた小さな眼鏡の奥に、鋭くユミを見つめる瞳がある。
「ご、ごめんなさい。」
ユミは慌てて謝ると、急々と自分の席に着いた。
(はぁ…。)
本日二度目のため息である。
「(おはようユミ。遅刻なんて珍しいね?)」
それに気づいた隣の席の子が、ひそひそと声をかけてきた。
ユミははっとして横を向く。
声をかけてきたのはミスラ族の女。大きな猫耳に美しい毛並みの、いわば猫女だ。
名をキヨという。
「(あ、おはようキヨ。ちょっと色々あってね…。)」
「(色々ぉ?)」
キヨは耳をピンッとさせた。
いつでもどうぞ。まさにそう言わんばかりだ。
キヨとユミは幼い頃からの親友で、いつもお互いの相談にのってきた仲である。
家庭、学校、勉強に恋愛まで。ジャンルを問わず、全てを話せる相手だった。
そして、このキヨのポーズはお決まりで、ユミは今まで何でも話してきた。
「(えと…。)」
しかし、今回ばかりは例外である。
あまりにも現実からかけ離れた話だ。
世界の終わり。闇の契約。闇の使い。謎の女。
どれをとって話そうと、まったく伝わる自信がない。
そう、まだ自分自身確信しきれていない部分が多すぎる。
「(…ありゃ?)」
キヨは黙り込んでしまったユミを見て、不思議な顔をした。
「(ごめん。今回のはまだ、整理できてないや…。)」
ユミは俯いて小さくなってしまった。
それを見て、キヨが優しく微笑む。
「(そっか。話したくなったら言ってね。)」
そう言って、教卓にいるスタン先生の方を向き直した。
(うん。ありがとう。)
心の中で、ユミは精一杯のお礼をした。



―カランカラーン。カランカラーン。
国校の鐘の音はバストゥーク全体に広がっていた。空を抜けるようにどこまでも美しく…。
その鐘が鳴り止むか否かの時、一人のタルタル族の男がバストゥークの地へと訪れていた。
スポンサーサイト
別窓 | story line | コメント:2 | トラックバック:1 | top↑
<<第伍輪 異なる同じ時間軸 | FINAL FANTASY XI Note of Dark | 第参輪 ザルカバード>>
ゼク君の予想についてw
またまた第壱号ありがとうございますw
ユミのお母さんですが、一体どこに行ったのかというと…


               ひ・み・つ

ですw
 
いづれ公開される時が来るかもしれないので、その時をお楽しみに(*゜ー゜)v
2005-12-19 Mon 15:34 | URL | 月渚 #-[ 内容変更] | top↑
ネ兄ネコ出演
題名に意味は無いのですがW
またもやコメント第一号頂きました(・ω・)ノ
そこで勝手ながら、お母さまの出張先を予想してみます!
それは!





ウィンとみた!

タルだから・・・? 次回もたのしみにしてるクポ(=´●`=)n
2005-12-19 Mon 15:22 | URL | ゼクロス #-[ 内容変更] | top↑
 
 
 
 
 
 
  管理者だけに閲覧
 

トラックバックURL

FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら
ルナス: は~~~い☆またまたやって参りました「グラツェ」この間、みみんに引きずられて映画を見てきたルナスです☆映画の内容は良かったんですけどね~となりのヤツが・・・(- …
| FINAL FANTASY XI Note of Dark |

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。