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第陸輪 すれ違う鍵
2006-01-08 Sun 15:40
「今年の春は、花柄とパステル色が流行りなので、お客様は花柄のワンピースなどお似合いになられるかと思いますよ。」
「はぁ。」
ニコニコ笑顔の店員の接客責めにあい、ユミは曖昧な返事を繰り返していた。
店員の話は尚続く。
「アイテムは春物のブーツ、ハンドウォーマー、タイツ――。」
「ユミ~これなんかいいんじゃない~?」
店員の話を遮るように、少し離れた棚の影からキヨが大声をあげた。
「あ、ちょっ、ごめんなさい!」
ユミは慌てて店員に軽く頭を下げると、キヨの方へと急ぎ足で向かった。
(助かった…。)
内心そう思いながら、目をキラキラさせているキヨを見つける。
一枚のワンピースを両手で広げ、満面に笑みを浮かべていた。
「わ、私に似合うかな?」
確かに可愛いが、少し派手すぎないか…。本当はそう言いたかったが、目の前で楽しそうにしているキヨを見ると、とても言い出せなかった。
色は白。向かって右肩から左下のスカートにかけて緩やかなカーブを描き、花の模様が一線を辿るようにして描かれている。
腰あたりから三線に別れ、一線はスカートのちょうど真ん中あたり、もう一線は右端へと延びていた。
何の花だろうか? どこか異国を思わせるような種類の花だ。
「ほら、見て見て~」
キヨがワンピースをくるりと回転させた。
「うわぁ。」
誰がこんなデザインをしたのだろうか。
表の肩の花とは反対の方向から、右端のスカートに向かって緩やかなカーブを描き、ファスナーがついている。
ファスナーをすべてはずすと、見事に服が…。
「すごいねこれ…」
「ね~すごいよねぇ♪」
キヨは相変わらず目をキラキラさせている。
その目がまるで「着てほしい」と訴えているようだ。
「あとね~」
ワンピースをユミに押しつけると、棚から別の服を取り出した。
春色のフードつきショートジャケット。
こちらも斬新なデザインでワンピースと組み合わせると見事にマッチしている。
「この組み合わせでこのブーツなら完璧♪」
どこから持ってきたのか。
いつの間にか足元にウェスタン風のブーツが置かれていた。
よほどユミにこのチョイスで着てほしいのだろう。
必死になって勧めるキヨを見て、ユミは思わずクスクスと笑ってしまった。
「にゃ? …だ、駄目?」
「ううん、すごく可愛い!ありがとうキヨ♪」
ユミはようやく心から笑顔になれた気がした。
(よかった。いつものユミに戻った…)
それを見て、キヨはホッと胸をなでおろしていた。



「ありがとうございました~。」
キヨのチョイスと自分のチョイスを両手いっぱいに抱え、ユミとキヨは店を出た。
「ちょっと買いすぎちゃったかな。」
そう言いながらキヨが少し苦笑いをしている。
「気にしない♪たまには、ね?」
「うん♪」
互いに笑顔を交わし、二人はしばし雑談に明け暮れた。
時間を忘れるほどに、何らたわいのない話題に夢中になった。
キヨは、本当はユミが言い出せない事を何より聞きたかったが、今は目の前で無邪気に話すユミがいれば、それで十分だと思っていた。
いつかきっと、話してくれると信じて…。
――どれほどの時が流れたであろう。そろそろ帰ろうと、二人は商業区の店舗街を歩き出した。
天の太陽は一時の眠りへと向かい、片隅で月が自分の出番を今か今かと待っている。
春先の風もこの時間になると少し冷たくて、二人の足を急かした。
しかし突然、キヨが足を止めた。
「キヨ?」
ユミが振り返るとキヨは道端の木を見上げている。
「ねぇねぇ、あれなんだろ~?」
キヨは"あれ"を見上げかかとを上げ下げしている。
「ん~?」
ユミも一緒になって木を見上げた。
「あー、ん~猫の…ぬいぐるみ?」
ユミにはそう見えた。
全身真っ黒で頭に小さなデブモーグリをのせている。
枝にぐったりと、もたれかかるようにしてひっかかっていた。
「なんであんなところに…?」
「さぁ?」
二人は顔を見合わせ、同時に首を傾げた。
その瞬間、突然強い風が吹き、二人は口を揃えて「帰ろう」とつぶやいた。



――視界は誰かの目線に変わる。
大工房へ通ずる道から噴水の広場へと歩を進め、やがてその視界に止むことなく噴き出す噴水が映る。
何かを探すように辺りを見渡し、そこにそれがないとわかると再び歩き出した。
噴水の脇を通り、店舗街へと続く階段を降りる。
そこで二人の少女とすれ違った。




――(え!)
急ぎ足で家路を急ぐユミはふと立ち止まった。
たった今、すれ違った人物―――。
ユミは振り返り、その人物を目で追った。
(黒いローブ…の女?)
もうすでにその人物は鉱山区へと続く階段を降りきっていたが、間違いなく黒いローブを着ていた。
まさか――?
そう思った時には、ユミは既にその人物の後を追いかけていた。
そう、無意識に。
少し駆け足で階段を滑るように降りる。
それに驚いたキヨが大声で何かを言っている。
もう何を言っているのかもわからない。ユミは必死だった。
ただ、無意識にもその意味は理解できたらしく、ユミは振り返り「ごめん!先に帰ってて!」と返していた。
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